両親が亡くなって,もう10年以上も前に住む人がいなくなった家だが,危険建造物になって近々解体するというので,久しぶりにふるさとに帰った.自分が育った家なので,いざ無くなるとなるとやはり寂しい.簡単な儀式の後,家の周りをカメラで撮影した.
写真は,以前タバコ屋をしていたときのなごりで,看板だけが残っていた.これもまもなく無くなる.中学生のときは,お客が来ると店に出て応対しなければならないことがあった.おもしろいテレビ番組を見ていると決まってお客が来て煩わされた.それで,タバコを吸うことは人に迷惑をかけることだと,大人になってもタバコは吸わないと誓い,今日までそれを実践している.私の両親は,はるばる私に会いに来るとき,店を閉めるとお客さんが困るからと,外からタバコをとることができるようにして,お客は用意された小さな容器に代金を入れて帰った.勘定が合わなかったことはなかったらしい.そんな時代もあった.